「わかろうとする気持ち」が平和をつくる
世界では今も戦争が続いています。ニュースやインターネットでその様子を見て、不安な気持ちになったり、怖くなったりしたことはありませんか。そんな気持ちになるのは、とても自然なことです。一人で心の中にしまい込まず、おうちの人や先生など、安心して話せる人に自分の気持ちを話してみてください。
さて、みなさんは、『ぼくたちは、あらそうために生きるのか?』(山極寿一 文・あべ弘士 絵、偕成社)という絵本を知っていますか。この本には、人は相手の気持ちをわかろうとする力(共感)を育てながら生きのびてきたという、大切なメッセージが書かれています。ゴリラのくらしと人の進化をくらべながら、「争うことよりも、助け合うことによって人類は生きのびてきた」と伝えてくれる一冊です。
世界では今も戦争が続き、多くの子どもたちが安心して遊んだり学んだりできません。でも、子どもには、安心して暮らし、学び、自分の気持ちを伝え、大切にされる権利があります。戦争は、その大切な権利を奪ってしまいます。
この本では、「戦争の歴史は、人類の長い歴史のほんのわずかな時間にすぎない」と語られています。そして、人類が世界へ広がることができたのは、争う力ではなく、互いに助け合い、共感する力を育ててきたからだと説明されています。「戦うことが人間の本性ではない」という視点は、未来への希望を感じさせてくれます。
学校でも、他の人と意見がちがうことはあります。そんなとき、「どうしてそう思ったのだろう」と相手の気持ちを考え、自分の考えも伝えながら話し合うことが、対立を乗り越える第一歩になります。子どもの権利条約では、子どもは自分の意見を表す権利をもち、その意見は大切にされることが示されています。同時に、相手の考えや気持ちにも耳を傾けることが、お互いを大切にすることにつながります。
「ぼくたちは、あらそうために生きるのか?」という問いに、みなさんならどう答えますか。ぜひこの絵本を手に取り、自分自身の答えを見つけてみてください。きっと、平和や子どもの権利について、自分にできることを考えるきっかけになるはずです。

『ぼくたちは、あらそうために生きるのか?』(山極寿一 文・あべ弘士 絵、偕成社)
名古屋市子どもの権利擁護委員 川口 洋誉
